院長ブログ
blog
院長ブログ 投稿日 2023-09-20、最終更新日 2023-09-20
こんな腹痛の時は、こんな疾患が!? 急性腹症(緊急手術も考えなきゃいけない)
院長の新谷です。今回は急性腹症について。良性の疾患のなかでも緊急に手術を要するような病態が急性腹症としてあります。
消化器外科の中では急性虫垂炎(盲腸)、憩室炎、急性胆嚢炎、急性胆管炎、急性膵炎、急性胃腸炎、急性胃潰瘍による穿孔や十二指腸潰瘍など。これらは急性腹症といって、緊急手術を考えなくてはいけない病態です。どんな場所で、どんな痛みだと、どんな疾患が考えられるのか。今回はそういった部分をご紹介いたします。
急性虫垂炎(盲腸)
急性胃腸炎(いわゆる盲腸)の場合は、最初にみぞおちの痛みを訴えることがあります。
患者さんは胃が痛くなり、時間とともに右下腹部へと痛みが移動しながら徐々に痛みの程度が強くなるというのが典型的な経過です。
最終的に痛みが激しくなって、発熱した場合には虫垂が穿孔して腹膜炎を呈している可能性があります。
憩室炎
憩室炎とは主に大腸にできます。大腸は結腸と直腸に分かれており、結腸(右下腹部の盲腸、上行結腸、横行結腸、下行結腸、S状結腸)のすべてのところに憩室炎は起こりうる可能性があります。
右下腹部が痛ければ、急性虫垂炎と憩室炎が鑑別されなくてはいけません。
痛む場所と該当する結腸
- 右下腹部に痛み/盲腸
- 右側腹部に痛み/上行結腸
- 右側腹部に痛み/横行結腸
- 左側腹部の痛み/下行結腸
- 左下腹部に痛み/S状結腸
急性胆嚢炎/急性胆管炎
急性胆嚢炎・急性胆管炎の初期症状としては、みぞおちから右上腹部の痛みや呼気時(息を吐くとき)の痛みなどがあります。
また、憩室炎のパートでもご説明しているように、この部分が痛い場合は、上行結腸や横行結腸の憩室炎との鑑別も必要になります。
※急性胆管炎は命に関わるような敗血症と呼ばれる病態に移行することがあります。
急性膵炎
急性膵炎の初期症状としては、上腹部に激しい痛みが走ります。具体的な場所でいうと“おへそとみぞおちの真ん中”で、ややへそ寄り。また、背中に痛みを感じることもあります。
急性胃腸炎
急性胃腸炎の初期症状としては、ズーンとおなかの真ん中あたり(あるいは全体)の痛みや、鋭いキリキリとした痛み、キューっと締め付けられるように痛みなどが挙げられます。
急性胃潰瘍による穿孔や十二指腸潰瘍
胃潰瘍穿孔・十二指腸潰瘍の初期症状としては、体の真ん中あたり(上腹部)の痛み。とくに空腹時に強い痛みが生じるとされています。また、胃がもたれた感じがする、胸やけがする、よくげっぷが出るといった症状が現れます。
どこが痛いかを知るということが、病気を見る上で一番大事!
ざっと説明させていただきましたが、大事なのは「どこが痛いのか」ということです。そこを押したとき、どんな痛みがあるのか、押して瞬間的に離したときに痛むのか。お腹を触るという行為はとても大事なこと。
ここだけの話、お腹が痛いと言って病院に行って、お腹を触らない先生はあまり信用しないほうがいいと思います。
たしかに今の時代、画像診断(CT・超音波検査)が普及し、精度が高い画像診断が得られるようになりました。
しかし、腹部触診というのは基本中の基本。そういうところから診断・治療というのははじまっていくのです。信頼できる病院・医師なのか判断するためにも、このことを頭の片隅に留めておいてください。
この記事の文責者
新谷 隆 NIIYA TAKASHI ALOHA外科クリニック院長
資格・所属
- 日本外科学会専門医
- 日本消化器外科学会専門医・指導医
- 日本内視鏡外科学会技術認定医(胆道)
- 日本ヘルニア学会会員
- 日本緩和医療学会会員
- 日本短期滞在外科手術研究会
- 「がん診療に携わる医師に対する緩和ケア研修会」修了
- NST研修修了 日本静脈経腸栄養学会
- 昭和大学消化器・一般外科兼任講師

カテゴリー
月間アーカイブ
診療時間 |
月 | 火 | 水 | 木 | 金 | 土 | 日 |
---|---|---|---|---|---|---|---|
9:00~12:00 | 訪問 診療 |
○ | ○ | ★ | ○ | ○ | 休 |
14:00~19:00 | ○ | 休 | ○ | ☆ | ○ | ○ | 休 |
★: | 第1/第3週:加藤博久医師(江東病院 外科専門医)による診察です 第2/第4週:中田亮輔医師(中田医院 外科専門医)による診察です |
☆: | 第2/第4週は当日の状況により受診いただけます 詳しくは予約システムかお電話で、ご確認をお願い致します |