腹直筋離開・白線ヘルニア
Diastasis Recti・Linea Alba hernia
腹直筋離開・白線ヘルニアとは
お腹には、縦に走る「腹直筋」という、いわゆる「シックスパック」を作る筋肉があります。この筋肉は、お腹の真ん中で「白線」というスジのようなもので左右がつながっています。
例えるなら、お腹の筋肉が左右に二つに割れていて、真ん中に細いヒモで繋がっているようなイメージです。
当院では患者さまが安心して手術を受けられるように、患者さまの症状や病気の状態にあった最適な治療法について詳しく説明させていただきます。
腹直筋離開とは
「腹直筋離開」というのは、この真ん中のヒモ(白線)が、何らかの理由で伸びたり、緩んだりして、左右の筋肉が大きく離れてしまう状態のことです。
健康な状態だと、左右の筋肉はキュッと真ん中に寄っていて、お腹に力を入れると硬くなります。でも、腹直筋離開になると、お腹に力を入れても真ん中がポコッとへこんだり、柔らかいままだったりすることがあります。指で押すと、左右の筋肉の間に溝のようなものが感じられることもあります。
腹直筋離開になる理由
一番多いのは、妊娠・出産です。赤ちゃんがお腹の中で大きくなるにつれて、お腹の皮が伸びるのと同じように、腹直筋も左右に引っ張られてしまうんです。出産時のいきみも負担になります。
でも、妊娠・出産した人だけがなるわけではありません。
お腹に脂肪がたくさんついている人も、内側から筋肉が押し広げられてしまいやすいです。
腹筋が弱い人は、ちょっとした力でも筋肉が 伸びやすいです。
間違った方法で激しい腹筋運動をする人も、かえって筋肉を痛めてしまうことがあります。

腹直筋離開の治療
◆ 手術療法(根本的な治療)
腹直筋離開は自然に完全に元に戻ることが難しいケースも多く、根本的に改善する方法は「手術」です。
【手術の特徴】
• 離開した腹直筋を中央に寄せて縫い合わせ、正常な位置に戻します。
• 筋膜を補強するためにメッシュを併用する場合もあります。
• 傷跡はできるだけ目立たないよう、下腹部を小さく切開する「美容外科的な縫合法」も可能です。
【こんな方におすすめ】
• 見た目の改善をしっかり求める方(ぽっこりお腹を治したい)
• 腰痛や体幹の不安定感が続いている方
• 保存的治療を試しても十分な効果を感じられなかった方
• 他の腹壁ヘルニアを併発している方
【回復・通院】
• 日帰り手術または短期入院が可能なケースもあります。
• 術後数週間で日常生活に復帰できます。
• 抜糸不要の溶ける糸を使用するなど、体への負担も最小限です。
臍ヘルニアと腹直筋離開の比較
産後の身体の変化などで混同されやすい「臍ヘルニア」と「腹直筋離開」。これらは原因も対処法も異なる状態です。下のタブをクリックして、項目ごとに両者の違いを詳しく比較してみましょう。
臍ヘルニア
腹壁の「穴」
へその部分の筋肉や筋膜に「穴」が開き、そこから腸などの内臓が皮膚の下に飛び出してしまっている状態(脱腸の一種)です。
腹圧の上昇
小児: 生まれつきへその緒の穴(臍輪)が完全に閉じていないこと。
成人: 妊娠・出産、肥満、腹水、慢性的な咳などによる腹圧の上昇が主な原因です。
「でべそ」状の膨らみ
へそが丸く、いわゆる「でべそ」状に膨らみます。力を入れたり泣いたりすると膨らみが大きくなり、仰向けで寝ると引っ込むことが多いです。通常は痛みがありませんが、稀に嵌頓(かんとん)すると激しい痛みを伴います。
自然治癒または手術
小児: ほとんどが1〜2歳までに自然治癒します。
成人: 自然治癒はしないため、手術(ヘルニアの穴を縫い閉じる、またはメッシュで補強する)が基本となります。
腹直筋離開
筋肉の「離開」
左右の腹直筋(お腹の真ん中の筋肉)が、中央にある白線という組織が引き伸ばされ、左右に離れてしまっている状態です。臍ヘルニアを合併していることが多いです。
妊娠による影響
妊娠による子宮の増大とホルモンの影響が主な原因です。腹直筋が引き伸ばされて離開します。多胎妊娠や帝王切開なども要因となりえます。
中央の溝・ぽっこりお腹
仰向けで頭を少し持ち上げると、お腹の中央に縦の溝(割れ目)ができたり、逆に山のように盛り上がったりします。腹部に力が入りにくく、腰痛や姿勢の悪化、産後のお腹のぽっこり感が主な症状です。
保存療法が中心
自然に改善する場合もありますが、改善しないケースも多いです。保存療法(骨盤底筋群やインナーマッスルのトレーニング、姿勢改善など)が中心です。通常の腹筋運動は悪化させる可能性があります。
当院で行っている手術について
麻酔について
静脈麻酔(点滴薬による麻酔)により、患者様が眠っている間に手術が行われる状態にします。
不安や恐怖を感じないように意識を無くして眠ってもらい、手術中の記憶はなく手術の途中で麻酔が醒めることはありません。

保存的治療(軽症・手術を希望されない場合)
• 体幹トレーニング・ドローイン
腹横筋や骨盤底筋を鍛えることで症状をある程度改善できます。
• コルセットなどの補助具
一時的にお腹をサポートする目的で使用することがあります。
ただし、根本的な治療にはなりません。
まとめ
腹直筋離開は、見た目だけでなく、体の機能や姿勢にも影響することがあります。
しっかり改善したい方には「手術」が最も確実な選択肢です。
当院では、日帰り手術にも対応しており、美容面にも配慮した丁寧な治療を行っています。
まずはお気軽にご相談ください。

診療時間 | 月 | 火 | 水 | 木 | 金 | 土 | 日 |
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9:00~12:00 | 訪問 診療 |
手術 | 手術 | ★ | 手術 | 手術 | 休 |
14:00~19:00 | ○ | 休 | ○ | ☆ | ○ | ○ | 休 |
★: | 江東病院副院長加藤博久医師(外科専門医)による診察となります(第1・第3週) |
☆: | 女性医師(外科専門医)による診察となります(第1・第3週) |
診療時間 |
月 | 火 | 水 | 木 | 金 | 土 | 日 |
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9:00~12:00 | 訪問 診療 |
○ | ○ | ★ | ○ | ○ | 休 |
14:00~19:00 | ○ | 休 | ○ | ☆ | ○ | ○ | 休 |
★: | 第1/第3週:加藤博久医師(江東病院 外科専門医)による診察です 第2/第4週:中田亮輔医師(中田医院 外科専門医)による診察です |
☆: | 第2/第4週は当日の状況により受診いただけます 詳しくは予約システムかお電話で、ご確認をお願い致します |