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お知らせ 投稿日 2022-12-22、最終更新日 2023-05-18
「急性虫垂炎(盲腸)=おなかを切る」・・・それって30年前の考え方ですよ。
院長の新谷です。今回のテーマは『急性虫垂炎(以下:虫垂炎)』。俗に言う盲腸ですね。タイトルを見て「そうなの?」と驚かれた方も少なくないのでは?盲腸=開腹手術というのは、ひと昔前の考え方です。近年では医学の発展によって抗生物質で炎症を抑えこんで制御する治療法や、約30年前からは腹腔鏡手術も導入されるなど、虫垂炎の治療も進化しており、なおかつ安心安全。当クリニックでは日帰り手術にも対応しています。子どもから大人まで幅広い年齢層で発症するとされている虫垂炎。今こそ虫垂炎への認識をアップグレードする時です。正しい知識を知れば、むやみに怖がることもなくなるはずです。
そもそも虫垂炎(盲腸)になる原因とは?
正直、原因はわかっていません。ただ、虫垂は盲腸の端から細長く飛び出ている突起のような臓器(小指の半分くらいの大きさ)です。そこに長い間便が停滞すると「糞石」といって便が石のように硬くなり循環不全を引き起こしたり、バリウム検査後にバリウムが塊になって虫垂に詰まり、病原性細菌が繁殖したりすることで起きることがわかっています。
「便が停滞する」と聞くと便秘の女性に起こりやすいのでは?と思う方もいるかもしれませんが一概にそうとは言えません。なぜなら便がどこで停滞するかが重要だからです。こればかりは誰にも予想できないこと。つまり、虫垂炎を予防する手立ては現状なく、老若男女すべての人に発症する可能性があると言えます。
虫垂炎に対する治療は、年々進化しています。
かつては虫垂炎の治療というと、診断後すぐの開腹手術が主流でしたが、現在は多種多様な広域抗菌スペクトルをもつ抗生物質の出現により、抗生物質を投与することで炎症を落ち着かせることができるようになりました。もちろん、虫垂に穴が空いて穿孔性腹膜炎なったような方で緊急手術が必要なケースも多いですが、緊急手術というのは準備にさける時間が少ないことや、他の臓器への損傷、手術時間が長いなど、多くのリスクを伴います。
そこでひとつのアイデアとして、まずは抗生物質で急性炎症を治療し、お体の状態がいい段階(治療から2ヶ月程度)で、腹腔鏡手術で待機的に切除する手法(待機的虫垂切除術)が虫垂炎に対する治療・戦略としてでき上がっています。開腹手術に比べて視野が良いなかでの手術が可能になったことで、術後の癒着やトラブルもかなり少ないというのが特徴です。また、近年はCTによる診断制度が飛躍的に高まり、血液検査(白血球・CRP※炎症反応検査)も1時間程度あれば評価が可能に。つまり、早期診断ができた上で早期治療ができるようになったわけです。緊急手術ではない虫垂炎切除であれば、日帰り手術でも安全に行えるということで、当クリニックでもこの手法を導入しています。
※腹腔鏡手術は、全身麻酔下で行われます。
自宅でもできる、セルフチェックの方法について。
虫垂炎の典型的な症状としては、まずはみぞおちが痛くなり、その痛みが右の下腹部に移行するというもの。ご自宅でもできるセルフチェックの方法は、手で優しくおなかを押した際に痛みがある、腹痛とともに微熱が出ている、倦怠感がある、など。押すと痛みがあり、離すと飛び上がるような激しい痛みを感じる「反跳痛」の症状がでた場合は、腹膜炎に移行している可能性があるため、すぐにかかりつけの医師の診断を受けてください。
日帰り手術なら、時間のロスを減らせます。
たとえば入院した場合。病院にもよってまちまちですが、待機的手術の入院期間は1泊2日~2泊3日。とはいえ1泊2日だとして、手術前日に入院して翌日までと考えても拘束時間は24時間以上。入院期間が伸びれば当然費用も1日ごとに加算されていくわけです。お仕事をされている方からすれば、できることなら仕事に穴は開けたくありませんよね。そんな方にぜひオススメしたいのが、当クリニックが導入している『日帰り手術』です。
◎手術当日の滞在時間は、映画2本分!
手術前に一度来院していただき、手術の適応があるかを判断します。日帰り手術の場合はお迎え・見守りに対して責任のとれる成人の方が周りにいるか、ご本人が日帰り手術に対して理解を示し、同意をしているかということを確認させていただきます。問題がなければ、抗生物質で痛みを散らし、お体が元気な状態になったら手術をするという流れです。手術に掛かる時間は1時間程度。滞在時間は4時間程度です。企業にお勤めの方、手術のために有給を2日~3日取得なんてもったいなくないですか?虫垂炎は、半休で治せる病気なのです。「半休でもとって映画でも観るか」くらいの感覚で来院いただければと思います。
◎日帰り手術なら、術後すぐにご飯が食べられる!
入院の場合、術後は点滴を打ち、絶食するのが当たり前ですが、私たちのように炎症を起こしていない状態で手術する『待機的虫垂切除術』の場合、術後の食事制限はありません。どんなお薬でも、どんな食事でも、可能な限り止めないでおくのが日帰り手術なのです。
◎費用について
腹腔鏡手術は様々な機器を使うため、それなりのコストが掛かるというのはご理解ください。私たちが実施している炎症の少ない腹腔鏡化虫垂切除術だと13万7600円(超音波凝固切開装置による加算あり)。ただ入院費や日数が掛からないメリットがあることや、術式的にも優れていることは間違いありません。手術による傷は虫垂を通るための穴を3つ(10ミリの穴を1つ、5ミリの穴を2つ)開けるだけ。傷が小さければ小さいほど癒着が起こりにくいので腸閉塞のリスクも軽減されるなど、トータルで考えるとメリットは多いです。
日帰り手術で治せる!ということを、地方の方々にも広く伝えていきたい。
都市部では徐々に知られるようになってきた虫垂炎の日帰り手術ですが、地方ではまだまだ知られていないのが現状。地方ではマニュアル通りの不要な検査や入院で、不利益を被っている方がいらっしゃる施設がまだ半分以上あります。そんな方たちを救いたい。国民の医療負担を引き下げる。それが、私が「日帰り手術を普及させたい理由」だからです。旅行がてら当クリニックにお越し下さい。都内に宿泊して次の日は朝から関東見物。その合間に手術をして、おいしいものを食べて帰る、というプランなんていかがでしょうか。
血液検査と心電図はやりますが、あとは階段を1階から3階まで登ることができれば、3時間程度の全身麻酔に耐えられると判断。これは日帰り手術を普及させるために積み重ねてきて、ようやく備わった技術です。本当に必要だと思われる検査のみをご提案します。
弊クリニックでも手術に関するご相談を受け付けております。
ご予約はHP内の予約フォームか電話にてお願い致します。
予約専用:03-3490-1170
この記事の文責者
新谷 隆 NIIYA TAKASHI ALOHA外科クリニック院長
資格・所属
- 日本外科学会専門医
- 日本消化器外科学会専門医・指導医
- 日本内視鏡外科学会技術認定医(胆道)
- 日本ヘルニア学会会員
- 日本緩和医療学会会員
- 「がん診療に携わる医師に対する緩和ケア研修会」修了
- NST研修修了 日本静脈経腸栄養学会
- 昭和大学消化器・一般外科兼任講師

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