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日帰り手術コラム

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日帰り手術コラム 投稿日 2024-03-02、最終更新日 2024-03-06

日帰り手術コラム  胆嚢ポリープ

日帰り手術コラム 胆嚢ポリープ

ALOHA外科クリニックでは、主に消化器外科疾患である、鼠径ヘルニア・臍ヘルニア・虫垂切除・胆嚢切除などの治療を『日帰り手術』で行い、またその普及に努めております。
このコラムでは、『日帰り手術』の対象となる疾患に関する文献を1つずつ紹介する形で、疾患に関する情報を提供してまいります。

※胆嚢ポリープについて詳しくはコチラもご参照ください。

初回は、『胆嚢ポリープ』に関する文献を紹介させていただきます。

胆道隆起性病変の画像診断 -両悪性の鑑別診断-
三好 広尚, 乾 和郎, 芳野 純治, 小林 隆, 山本 智支, 松浦 弘尚

抄録

胆嚢隆起性病変の画像所見を概説した.非腫瘍性疾患にはコレステロールポリープ,過形成性ポリープ,胆嚢腺筋腫症,炎症性ポリープ,腫瘍性病変には腺腫,胆嚢癌などがある.US,EUS,CT,MRIはコレステロールポリープや胆嚢腺筋腫症などにおいて,典型的な画像所見を認めれば鑑別診断に有用な画像診断法である.しかし,10 mm以上のコレステロールポリープなどでは内部エコーが実質様エコーを呈してくるため,典型的な所見が得られなくなる.また,小さなRASを有する胆嚢腺筋腫症では,microcystic areaの検出が困難となり,腫瘍性病変との鑑別が困難となる.大きさに比例して胆嚢癌の占める割合が増加するため,典型的な画像所見を呈さない10 mm以上の隆起性病変では胆嚢摘出術が考慮される.近年,MRI拡散強調像,超音波造影剤を用いたUS,EUSなど新たな画像診断が行われ,良好な成績が報告されており,今後,さらなる診断の向上が期待される. 胆道 29巻1号 94~102(2015) 外科医のトピックス 『胆嚢ポリープの単純CT検出率は極めて低い すなわち 単純CTで描出されないエコーやMRCPで描出される病変は胆嚢ポリープの可能性が高い』 ということ 2CT 96~97より引用  “単純CTにおける胆嚢隆起性病変の描出は,有用な情報をもたらす.  Furukawaらは,単純CTではコレステロールポリープは描出されないが,胆嚢癌,胆嚢腺腫では淡い高吸収域として描出され,単純CTにおける胆嚢腫瘍(癌,腺腫,転移性),コレステロールポリープの検出率はそれぞれ81%,7%であったと報告している.コレステロールポリープが単純CTで描出されない理由としてfoamy cellが周囲の胆嚢胆汁の成分を含んでおり,胆嚢内胆汁と同等のCT値を呈するためと述べている.“

文献 Furukawa H, Kosuge T, Shimada KI, et al. Small polypoid lesions of the gallbladder. Differential diagnosis and surgical indications by helical computed tomography. Arch Surg 1998; 133: 735-739  

“佐々木らもⅠ型胆嚢隆起性病変の検討において,大きさ10mm以上では,単純CTで描出されない病変は80%がコレステロールポリープであったのに対し,描出された病変のうち91%は腫瘍性病変であり,単純CTで描出されるポリープは腫瘍性病変である可能性が高い.また,造影CT所見は,広茎性病変では病変から周囲胆嚢壁に連続する造影効果のある病変として描出され,腫瘍性病変である可能性が高いと報告している.  
文献 佐々木民人, 藤本佳史, 芹川正浩. MD-CTによる胆嚢癌診断. 胆道 2009; 23: 703-708

医学用語解説

コレステロールポリープは,胆嚢の粘膜固有層に増殖した脂質(cholesterolester)を貪食した泡沫細胞(foamy cell)が増殖し,ポリープ状になったもの

『胆嚢ポリープ』は健診などで発見される機会の多い胆嚢疾患です.
日本肝胆膵外科学会〔胆道癌診療ガイドライン作成委員会〕編『胆道癌診療ガイドライン』(改訂第2版)から引用すると

CQ(クリニカルクエスチョン)4  
どのような胆嚢ポリープに対して胆嚢摘出術は必要か? 胆嚢ポリープが10mm 以上で,かつ画像上増大傾向を認める場合,または大きさにかかわらず広基性の場合,胆嚢癌の頻度が高く,胆嚢摘出術が推奨される。

解説

胆嚢癌の発生母地病変として腺腫もしくは異型上皮が重視され,さらに腸上皮化生の関与が報告されている1, 2)。胆嚢切除例1,280 例の検討で,腺腫のみのものはいずれも1cm 未満であり,一方、2cm をこえるとほとんど癌化していたとの報告3)や、胆嚢ポリープの診断で胆嚢摘出術がおこなわれた症例の検討から,ポリープの径が10mm 以上,単発であること,年齢が60 才以上、広基性,増大傾向を認める場合には癌の可能性が高いとの複数の報告がある4-9)。

これらの結果から胆嚢ポリープは径が10mm 以上で,かつ画像上増大傾向を認める場合,または大きさにかかわらず広基性病変では胆嚢癌の頻度が高く,胆嚢摘出術の適応と考えられる4-13)。

 

参考文献

1) Roa I, de Aretxabala X, Araya JC, Roa J. Preneoplastic lesions in gallbladder cancer. J Surg Oncol 2006; 93: 615-623.

2) Yamagiwa H. Mucosal dysplasia of gallbladder: isolated and adjacent lesions to carcinoma. Jpn J Cancer Res 1989; 80: 238-243.

3) 山際裕史.胆嚢疾患の臨床病理(5)胆嚢の腺腫.臨床病理 1986; 34: 729-732.

4) Chijiiwa K, Tanaka M. Polypoid lesion of the gallbladder: indications of carcinoma and outcome after surgery for malignant polypoid lesion. Int Surg. 1994; 79: 106-109.

5) Kubota K, Bandai Y, Noie T, Ishizaki Y, Teruya M, Makuuchi M. How should polypoid lesions of the gallbladder be treated in the era of laparoscopic cholecystectomy? Surgery 1995; 117: 481-487.

6) Park JK, Yoon YB, Kim YT, Ryu JK, Yoon WJ, Lee SH, et al. Management strategies for gallbladder polyps: Is it possible to predict malignant gallbladder polyps? Gut and Liver 2008; 2: 88-94.

7) Kwon W, Jang JY, Lee SE, Hwang DW, Kim SW. Clinicopathologic features of polypoid lesions of the gallbladder and risk factors of gallbladder cancer. J Korean Med Sci 2009; 24: 481-487.

8) Corwin MT, Siewert B, Sheiman RG, Kane RA. Incidentally detected gallbladder polyps: Is follow-up necessary? -Long-term clinical and US analysis of 346 patients. Radiology 2011; 258: 277-282.

9) Cha BH, Hwang JH, Lee SH, Kim JE, Cho JY, Kim H, et al. Pre-operative factors that can predict neoplastic polypoid lesions of the gallbladder. World J Gastroenterol 2011; 17: 2216-2222.

10) Myers RP, Shaffer EA, Beck PL. Gallbladder polyps: epidemiology, natural history and management. Can J Gastroenterol. 2002; 16: 187-194.

11) Mainprize KS, Gould SWT, Gilbert JM. Surgical management of polypoid lesions of the gallbladder. Br J Surg. 2000; 87: 414-417.

12) Akatsu T, Aiura K, Shimazu M, et al. Can endoscopic sonography differentiate nonneoplastic from neoplastic gallbladder polyps? Dig dis Sci. 2006; 51: 416-421.

13) Sugiyama M, Atomi Y, Yamato T. Endoscopic ultrasonography for differential diagnosis of polypoid gallbladder lesions: analysis in surgical and follow up series. Gut 2000; 46: 250-254.

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