日帰り手術コラム
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日帰り手術コラム 投稿日 2024-03-10、最終更新日 2024-03-26
日帰り手術コラム(2)
ALOHA外科クリニックでは、主に消化器外科疾患の『日帰り手術』を実施し、その『日帰り手術』普及に努めております。
このコラムでは、『日帰り手術』の対象となる疾患に関する文献を1つずつ紹介する形で、疾患に関する情報を提供してまいります。
今回は2023年11月に発行された日本医師会雑誌の特集『Common disease 体表のヘルニアを学び直そう!』の巻頭言である文献を紹介させていただきます。
私が所属している日本ヘルニア学会の会員数は1,500人程度を推移しています。鼠径部ヘルニアを手術する外科医が所属する主な学会の会員数は日本消化器外科学会で21,000人、日本外科学会で40,000人程度です。万人の病気である鼠径部ヘルニアではありますが、学会に所属している外科医がとても少ないのが現状です。学会は古典から最先端の知識を共有する場ですが、その学会で共有される特集を会員数175,933人(令和5年12月1日)の日本医師会雑誌で紹介されることはとてもありがたいことであります。
巻頭言は 一般社団法人 日本ヘルニア学会 理事長 蜂須賀丈博先生の肝煎りのお言葉であると思い、その全文を紹介させていただきます。
巻頭言
たかがヘルニア、されどヘルニア
体表のヘルニアは、いわゆる “common disease” の範疇に入る疾患で、最も手術件数の多い外科疾患である。体表から触知でき診断されるが、ときに致死的となるため、古くから恐れられてきた。その証拠に、古代エジプトも壁画にへそ部にヘルニアを持つ兵士が描かれている。一方、致死的になることがあるとはいえ、良性疾患であるため、医学教育の中であまり詳細に教えられてこなかったのも事実である。また、外科医教育においても、最初に扱う手術であるにもかかわらず、しっかりした教育体系が構築されないまま手術が行われてきた歴史がある。
このような状況の中で、体表のヘルニア手術は1990年頃を境に大きく変化した。それは、従来行われてきた組織を縫合して修復する方法から、欧米で始まっていた人工物であるメッシュを用いた方法に大きく転換したことである。さらに、腹腔鏡手術の進歩により、大きな皮膚切開を置くことなく、腹腔鏡を用い内側から修復する方法が広まったが、拡大視された映像が記録されることにより、膜構造の解剖学的知見が飛躍的に深まった。このように外科医の関心が高まる中、欧州、米国に続き、2003年に日本ヘルニア研究会(2008年、日本ヘルニア学会と改組)が結成され、正式に外科の一分野としてスタートした。欧米では、ヘルニア外科は1つの確立した分野として扱われ、“ herniology ” と呼ばれているが、われわれも彼らに負けないように学問的研究を開始している。
今回、『日本医師会雑誌』の特集に「体表のヘルニア」を取り上げていただいたことは大変光栄なことと感じている。本特集は、古くて新しい、しかも日常診療で最も遭遇する common disease である体表のヘルニアについて、歴史から最新の手術法、学術的なことまですべて学び直せるように企画した。
本特集が先生方の日常診療の一助になり、患者にも体表のヘルニアに関する最新情報が伝わることを期待する。
蜂須賀丈博
私立四日市病院 病院事業副管理者・副院長/
一般社団法人 日本ヘルニア学会 理事長
出典:日本医師会雑誌 第152号・第8号
The Journal of the Japan Medical association
この巻頭言の全てに共感いたしますが、特にこれから鼠径部ヘルニアに関わる外科医の先生方に強調したい文言を太字にさせていただきます。
たかがヘルニア、されどヘルニア
体表のヘルニアは、いわゆる “common disease” の範疇に入る疾患で、最も手術件数の多い外科疾患である。体表から触知でき診断されるが、ときに致死的となるため、古くから恐れられてきた。その証拠に、古代エジプトも壁画にへそ部にヘルニアを持つ兵士が描かれている。一方、致死的になることがあるとはいえ、良性疾患であるため、医学教育の中であまり詳細に教えられてこなかったのも事実である。また、外科医教育においても、最初に扱う手術であるにもかかわらず、しっかりした教育体系が構築されないまま手術が行われてきた歴史がある。
このような状況の中で、体表のヘルニア手術は1990年頃を境に大きく変化した。それは、従来行われてきた組織を縫合して修復する方法から、欧米で始まっていた人工物であるメッシュを用いた方法に大きく転換したことである。さらに、腹腔鏡手術の進歩により、大きな皮膚切開を置くことなく、腹腔鏡を用い内側から修復する方法が広まったが、拡大視された映像が記録されることにより、膜構造の解剖学的知見が飛躍的に深まった。このように外科医の関心が高まる中、欧州、米国に続き、2003年に日本ヘルニア研究会(2008年、日本ヘルニア学会と改組)が結成され、正式に外科の一分野としてスタートした。欧米では、ヘルニア外科は1つの確立した分野として扱われ、“ herniology ” と呼ばれているが、われわれも彼らに負けないように学問的研究を開始している。
今回、『日本医師会雑誌』の特集に「体表のヘルニア」を取り上げていただいたことは大変光栄なことと感じている。本特集は、古くて新しい、しかも日常診療で最も遭遇する common disease である体表のヘルニアについて、歴史から最新の手術法、学術的なことまですべて学び直せるように企画した。
本特集が先生方の日常診療の一助になり、患者にも体表のヘルニアに関する最新情報が伝わることを期待する。
今後、本特集の内容を引き続き紹介させて頂き、日本の鼠径部ヘルニアの標準を若手外科医の先生方にお知らせできればと考えております。
ALOHA外科クリニック
院長 新谷 隆
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