「鼠径部ヘルニア診療ガイドライン 2015」を紐解く
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「鼠径部ヘルニア診療ガイドライン 2015」を紐解く 投稿日 2020-11-14、最終更新日 2023-04-07
肝硬変患者への鼠径ヘルニア修復術は安全に施行できるか?(CQ27-3 )
Answer
手術関連死・合併症を増加させるという報告があるが、非肝硬変患者との手術成績に差がないとの報告もあり、慎重な適応が必要である(推奨グレードC1)。
※「鼠径部ヘルニア診療ガイドライン 2015」76頁より
解説
非肝手術においても手術関連死、合併症を増加させるとのシステマティックレビューがあるが、膵・心血管手術においてそのリスクは最大であるのに対し、胆嚢摘出術、臍ヘルニア修復術、鼠径ヘルニア修復術では最低であった。非肝硬変患者手術と比較し再発率、合併症率に有意差なし。
また、腹水を有するChild B,Cの患者においても重篤な合併症はなく、再発、手術関連死はない との報告もある。
有症状鼠径ヘルニア患者では、Lichtenstein法でSF-36上QOLを改善させたとの報告がある。
※「鼠径部ヘルニア診療ガイドライン 2015」76頁より
注記*
肝硬変患者の鼠径ヘルニア修復術に関しては鼠径部切開法による術式を選択したいと考えています。
肝硬変の病期にもよりますが、ひとたび腹腔内に感染を併発すると生命に危険が及ぶ可能性があります(院長の元々の専門は肝臓でした)。
腹腔鏡手術が感染しやすいと言うわけではありませんが(逆に抗生物質が不要な感染しにくい手術ですが)、肝硬変=易感染症状態と考えてのことです。
前方到達法で出来る限り腹膜に負担をかけない術式をすべきであると考えます。
【総合外科医の眼】
私の仲間が鼠径部切開法中心の日帰り手術室を横浜で開業してくれました。双方向での連携を実施してますので、肝硬変のある方は信頼・実績のあるドクターをご紹介させていただきます。
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