「鼠径部ヘルニア診療ガイドライン 2015」を紐解く
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「鼠径部ヘルニア診療ガイドライン 2015」を紐解く 投稿日 2020-11-14、最終更新日 2023-04-07
成人鼠径ヘルニアに対してPlug法は推奨できるか?(CQ11 )
Answer
Plug法は性別にかかわらず初発鼠径部ヘルニアにおいて推奨できる術式である(推奨グレードB)。
再発鼠径部ヘルニアにおけるPlug法は、推奨に足る十分なエビデンスは現時点ではなく、再発形態により適切な術式を選択すべきである(推奨グレードC2)。
※「鼠径部ヘルニア診療ガイドライン 2015」38頁より
解説
Plug法の手技の要点は、ヘルニア門の周囲の横筋筋膜と腹膜前筋膜浅葉の全周性剥離と、その層での行為剥離である。腹膜からなるヘルニア嚢の開放や切開の必要はない。
Plugの固定は、上記の2枚の膜と吸収糸で2~3針固定する。
再発率は他の鼠径部切開法に比べてほぼ同等、腹腔鏡下ヘルニア修復術に比べて再発率に差はない。
Plug特有の合併症として、著明な術後疼痛、Plugの移動、遅発性メッシュ感染、異物に対する肉芽腫、大腸穿通、アレルギー性肉芽腫性血管炎などの報告がある。
いずれも稀ではあるが、十分に注意した手術操作が必要であり、組織反応性の低いlarge pore、lightweight meshが推奨される。
すべての鼠径部ヘルニアに適応があるが、特に間接ヘルニア、大腿ヘルニア、再発ヘルニアに適しているとされる。
また、腹膜前腔を操作した手術後のヘルニア(前立腺術後など)に適している。
Myopectineal orfice全体を覆う術式ではなく、鼠径ヘルニアの修復時に大腿ヘルニアを同時に修復できる術式ではないが、逆に、大腿ヘルニアのみを修復するのに適しており、非常に簡便な方法である。
※「鼠径部ヘルニア診療ガイドライン 2015」38頁より
注記*
個人的には前立腺癌術後などで使用しています。
ただしガイドラインにも記載されていますが、鼠径ヘルニア・大腿ヘルニアを同時に修復できる術式ではないので、術前のCT診断は必須であると考えます。
もちろん術中の検索も重要ですが、大腿ヘルニアを見落とす可能性もあるかもしれません。
総合的に、腹腔鏡下ヘルニア修復術(TAPP)であれば両側鼠径部ヘルニア(最多6個のヘルニア門)加えて、閉鎖孔ヘルニア(腸管絞扼・イレウスにて緊急手術の可能性あり)も含めると8個のヘルニア門を5mmの穴が3個で治療することが出来るので、私は腹腔鏡下ヘルニア修復術(TAPP)を最も好みます。
また得意な手術が腹腔鏡手術ですので、ALOHA外科クリニックの鼠径部ヘルニアに対する標準術式は『腹腔鏡下ヘルニア手術(TAPP)』です。
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