現在の鼠径ヘルニアの最短手術日は 10月16日(水) です。

現在の胆のうの最短手術日は 12月中旬の予定です。

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院長ブログ

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院長ブログ 投稿日 2024-09-17、最終更新日 2024-09-17

ワーファリンと『時間泥棒』

本邦では高齢化がすすみ『2025年問題』が取り沙汰されています.高齢化に伴い癌以外の疾病(骨粗鬆症・動脈硬化など)やフレイルといった健康に関する問題が日本経済や社会に深刻な影響を及ぼしているのです. そういった背景がある中,近年心房細動や脳梗塞などの生命に危機を及ぼす疾病に対してカテーテルによる血管内治療は進歩を続け,脳卒中による後遺症は著しく少なくなっていると思われますが、高齢者の増加に伴い有病者は増加している現状です.そのため疾病の予防のためにアスピリンやワーファリンといった『血液をサラサラにする薬(抗血小板薬・抗凝固薬)』を内服している人は増加しています.
私が日々研鑽している外科手術執刀の際には必ず『メス』という号令のような発声があり,メスで皮膚を切開することにより手術は開始されます.メスで皮膚を切開すると出血します.近年普及している腹腔鏡手術やロボット支援手術でも必ず皮膚を切開し腹腔内へ到達します.その際に『血液をサラサラにする薬』を服用していると出血が増加する恐れがあるため,手術や内視鏡検査,抜歯などの際に『血液をサラサラにする薬』を休薬することがあります.特にワーファリンを手術で中止する際には血栓症予防のため,ヘパリンという注射薬に置換するため1週間程度の入院が必要となる.1週間は168時間 とても長い時間です.


我々のクリニックでは腹腔鏡下ヘルニア手術(TAPP)の際に超音波凝固切開装置を使用するため,出血量は少なく,『血液をサラサラにする薬(抗血小板薬・抗凝固薬)』を内服し続けて手術を実施することが多いです.何故なら,休薬することで脳血栓症や心筋梗塞を発症するリスクが生じるためです.休薬期間が短くても,ひとたび血栓症を発症した場合は生命に危機が及ぶ可能性もあり,また,重篤な後遺症が残る可能性もあるのです. ただし,これまでの経験からワーファリン使用中の患者さんでは出血がしやすい傾向は否めないので,ワーファリン使用中の患者さんは入院での手術を提案してきました.それでも,やはり『日帰り手術』を希望されてALOHA外科クリニックを訪れる患者さんには,時間に対する人それぞれの思いがある事を知らされました.子供が小さいので一緒にいたい,犬を飼っているので家を空けられない,大学病院では1週間の入院が必要と言われました などなど.


『時は金なり(Time is money)』『孝行したい時分に親はなし』『歳月人を待たず』といった時に関することわざがあるのはいつの時代も『時間』が大事であることを物語っています. ドイツの作家ミヒャエル・エンデが1973年に発表した『モモ』。翌1974年には、ミヒャエル・エンデはこの作品でドイツ児童文学賞を受賞しました。私が中学生の時の課題作品であり、現在の私の歳で再読すると新たな想いを再構築することができる作品です。 『時間とは、生きるということ、そのものだからです。そして人のいのちは心を住みかとしているからです。』『人間というものは、ひとりひとりがそれぞれのじぶんの時間を持っている。そしてこの時間は、ほんとうにじぶんのものであるあいだだけ、生きた時間でいられるのだよ。』  


私も還暦が近づき,日々,時間の大切さを感じながら生活をしています.常に優先順位を考えて行動しています.その中で自分の責務が『日帰り手術の普及』であると確信しており,何とか患者さんの希望に添えるよう,ワーファリン投与中の患者さんには『鼠径部切開法での日帰り手術』を実施しております.鼠径部切開法の良いところはもし止血困難であった場合に直接圧迫止血することが可能な事と,術後出血の早期発見が可能である事だと考えております. 例え『日帰り手術』であっても,患者さんの背景は異なりますので,患者さんそれぞれに合った『日帰り手術』を提供できるよう,スタッフ一同で取り組んで参ります.

『2025年問題』とは

2025年問題とは,国民の5人に1人が後期高齢者(75歳以上)の超高齢化社会を迎えることで雇用,医療、福祉といった日本経済や社会の広い領域に深刻な影響を及ぼす諸問題の総称

フレイルとは

フレイルとは 医学用語である「frailty(フレイルティー)」の日本語訳で、 病気ではないけれど、年齢とともに、筋力や心身の活力が低下し、介護が必要になりやすい、健康と要介護の間の虚弱な状態

ワーファリンとは 血液をさらさらにするお薬(抗血小板薬・抗凝固薬)です. 人工弁の手術を行った方や,心房 細動という不整脈のある方は,心臓の中で血のかたまり(血栓)ができやすく,これは 人工弁の障害や脳梗塞,血栓症の原因になります. これらの予防のために,ワーファリ ンを服用します.

モモ

廃墟となった円形劇場に住みついた、粗末な身なりをした少女モモ。街の人々は相談をし、モモの面倒を見ることになります。モモに話を聞いてもらうと硬くなった心が柔らかくなり悩みが消えていく……。不思議な力を持つモモは、街の人にとってかけがえのない存在になっていくのでした。ところがある日、街に「灰色の男たち」が現れます。 「時間を貯蓄銀行に貯めると命が倍になる」と言う彼らのせいで、町の人々から「時間」が奪われてしまい――。

この記事の文責者
新谷 隆 NIIYA TAKASHI ALOHA外科クリニック院長

資格・所属

  • 日本外科学会専門医
  • 日本消化器外科学会専門医・指導医
  • 日本内視鏡外科学会技術認定医(胆道)
  • 日本ヘルニア学会会員
  • 日本緩和医療学会会員
  • 日本短期滞在外科手術研究会
  • 「がん診療に携わる医師に対する緩和ケア研修会」修了
  • NST研修修了 日本静脈経腸栄養学会
  • 昭和大学消化器・一般外科兼任講師
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    患者の負担やライフスタイルに配慮した鼠経ヘルニアの日帰り手術
    忙しい人ほど受けてほしい、腹腔鏡による鼠経ヘルニアの日帰り手術
         

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    第1/第3週:加藤博久医師(江東病院 外科専門医)による診察です
    第2/第4週:中田亮輔医師(中田医院 外科専門医)による診察です
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