日帰り手術コラム
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日帰り手術コラム 投稿日 2025-08-17、最終更新日 2025-08-17
腹腔鏡手術の麻酔について
鼠径ヘルニア腹腔鏡手術の麻酔について
鼠径ヘルニアの腹腔鏡手術は、全身麻酔で行われるのが一般的です。
腹腔鏡手術に全身麻酔が必須である理由
腹腔鏡手術は、お腹に数ヶ所の小さな穴を開け、そこから内視鏡(腹腔鏡)や専用の細い器具を入れて行う手術です。この手術を安全かつスムーズに行うために、以下の理由から全身麻酔が必要となります。
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気腹(きふく)の必要性: 腹腔鏡手術では、お腹の中を炭酸ガスで膨らませて、手術を行うためのスペースを確保し、臓器や血管を見やすくします。これを「気腹」といいます。気腹を行うと、患者さんは強い圧迫感や不快感を感じるため、意識がある状態では手術を進めることが困難です。全身麻酔によって意識を消失させる必要があります。
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筋弛緩(きんしかん)の必要性: 手術を円滑に行うには、筋肉の緊張を緩める必要があります。特に腹腔鏡手術では、より深い筋弛緩状態が求められます。全身麻酔薬には、意識をなくす「鎮静」と痛みを抑える「鎮痛」に加え、筋肉を弛緩させる「筋弛緩」の3つの要素があり、これを麻酔薬でコントロールします。
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安全な気道確保: 全身麻酔で筋肉が弛緩すると、自力での呼吸が困難になることがあります。そのため、安全に手術を行うために、気管にチューブを入れて人工呼吸を行います。
全身麻酔の種類と流れ
全身麻酔には、主に以下の2種類があります。
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静脈麻酔: 点滴から麻酔薬を投与する方法です。通常、この方法で意識を消失させます。
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吸入麻酔: 呼吸で麻酔ガスを吸い込む方法です。
一般的な流れとしては、まず点滴から静脈麻酔薬を投与して患者さんが眠りにつきます。その後、気管にチューブを挿入し、吸入麻酔薬も併用して麻酔状態を維持します。手術が終わる数分前に麻酔薬の投与を止めると、患者さんは徐々に意識を取り戻し、自発呼吸が安定した段階で気管のチューブを抜きます。
術後の痛みへの対策
全身麻酔によって手術中の痛みは全く感じませんが、麻酔が切れると痛みが生じます。この術後の痛みを和らげるために、全身麻酔に加えて以下の麻酔を併用することがあります。
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局所麻酔: 手術部位に直接、局所麻酔薬を注射する方法です。手術後の痛みを軽減し、麻酔の効果が数時間持続することで、帰宅までの痛みを抑えることができます。
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神経ブロック: 手術部位に関連する神経の根元に局所麻酔薬を注入する方法です。より広範囲に、長く鎮痛効果を得ることができます。
これらの併用麻酔は、全身麻酔薬の使用量を減らし、痛みを抑える効果を高める目的で行われます。
麻酔のリスク
全身麻酔は、専門の麻酔科医が患者さんの全身状態を常にモニタリングしながら行われるため、非常に安全性が高いとされています。しかし、以下のような一般的なリスクは存在します。
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術後の吐き気や嘔吐: 麻酔薬の影響で、術後に吐き気や嘔吐が起こることがあります。
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喉の痛み: 気管にチューブを入れるため、術後に喉に違和感や痛みを感じることがあります。
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アレルギー反応: 麻酔薬に対してアレルギー反応が起こる可能性はごくまれですが、ゼロではありません。
不明な点や不安なことがあれば、手術前に担当の医師や麻酔科医にしっかりと相談し、納得した上で手術に臨むことが重要です。
ALOHA外科クリニックでは、麻酔科による管理がされた手術を提供しております。
鼠径ヘルニアでお困りの方はお気軽にご相談ください。
この記事の文責者
新谷 隆 NIIYA TAKASHI ALOHA外科クリニック院長
資格・所属
- 日本外科学会専門医
- 日本消化器外科学会専門医・指導医
- 日本内視鏡外科学会技術認定医(胆道)
- 日本ヘルニア学会会員
- 日本緩和医療学会会員
- 日本短期滞在外科手術研究会
- 「がん診療に携わる医師に対する緩和ケア研修会」修了
- NST研修修了 日本静脈経腸栄養学会
- 昭和大学消化器・一般外科兼任講師

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