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「鼠径部ヘルニア診療ガイドライン 2015」を紐解く

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「鼠径部ヘルニア診療ガイドライン 2015」を紐解く 投稿日 2020-11-14、最終更新日 2023-04-07

成人鼠径部ヘルニアに対してBilayer法は推奨できるか?(CQ12 )

Answer

Bilayer法は性別にかかわらず初発鼠径部ヘルニアにおいて推奨できる術式である(推奨グレードB)。
過去に腹膜前腔操作を伴う手術を行った後や再発鼠径部ヘルニアに対するBilayer法は、推奨に足る十分なエビデンスは現時点ではなく、個々の症例ごとに適切な術式を選択すべきである(推奨グレードC1)。※「鼠径部ヘルニア診療ガイドライン 2015」40頁より

解説

① 要点

Myopectineal orficeをすべて覆うことができる前方到達法の術式の一つである。

Bilayer法のうち日本で使用可能なデバイスはPHS、UHSである。

2層構造を下デバイスであり、1層を腹膜前腔に、もう1層を鼠径管後壁と内鼠径輪を含み外側三角の前方に展開・固定する術式です。

② 利点

局所麻酔法でも実施可能であり、全身麻酔を実施できない患者に対しても実施可能な術式の一つである。

Lichtenstein法やPlug法とのメタアナリシス、複数の無作為比較試験の結果で「チクチク感」「不快感」「圧迫感」「痛み」「再発」「神経痛」「精巣萎縮」「その他の愁訴」「入院期間」「仕事復帰」「運転」「スポーツまでの日数」「術後2週間までのVisual Analog Scale」「鎮痛烏薬の使用」において有意差を認めない。

③ 欠点

一つのランダム化比較試験において、Lichtenstein法、Plug法よりもPHS法の難易度は高いとされ、PHS法と比較するとLichtenstein方は術者満足度が高いとされている。

日本からのKugel法とPHS方を比較したランダム化比較試験の報告では、手術時間はKugel法で51.6±11分、PHS方で69.5±17.3分であり、PHS法はKugel法と比較して手術時間が有意に長いことが報告されている。

※「鼠径部ヘルニア診療ガイドライン 2015」40頁より

(ただし、太字への変更及び下線は筆者)

注記*

私も感じているのですが、Bilayer法は『難しい手術』です。

国内の報告で術後再発はPlug法6.5%と比較してPHS法0.7%と再発率は有意に低いことが報告されていますが、エビデンスレベルが低いことと、前述のごとく、Plug法が他の鼠径部切開法に比べて再発率がほぼ同等であるのならば、一般の外科医(ヘルニア専門家ではなく)が敢えて難しい手術手技を選択する意味はなく、経験の浅い外科医でも安全に施行可能で、わが国においてもお推奨できる術式 Lichtenstein法やPlug法をオススメします。

私は腹腔鏡を手術の基本としてきましたので、自分の得意とする腹腔鏡下ヘルニア手術の手技習得に励みました。

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