「鼠径部ヘルニア診療ガイドライン 2015」を紐解く
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「鼠径部ヘルニア診療ガイドライン 2015」を紐解く 投稿日 2020-11-14、最終更新日 2023-04-07
鼠径部ヘルニアと鑑別が必要な疾患は?(CQ4)
Answer
鼠径部膨隆、腫脹に関しての鑑別を要する疾患は
- 1)鼠径部リンパ節腫脹
- 2)動脈瘤
- 3)静脈瘤(精索静脈瘤、円靭帯静脈瘤)
- 4)軟部腫瘍
- 5)膿瘍
- 6)精系奇形(異所性清掃など)
- 7)子宮内膜症
- 8)Nuck菅水腫、精索水腫
典型的な膨隆を伴わない疼痛や不快感について
- 1)恥骨結合炎
- 2)子宮内膜症
- 3)内転筋付着部炎
(推奨グレードC1)
※「鼠径部ヘルニア診療ガイドライン 2015」25頁より
解説
鼠径部ヘルニア野膨隆は経過、触診における軟性、体位による変化やグル音野聴取などの特徴を有し、身体所見のみでの診断率はい70~90%とされる。
※「鼠径部ヘルニア診療ガイドライン 2015」25頁より
(ただし、太字への変更、及び下線は筆者)
注記*
子宮内膜症・Nuck菅水腫の存在に注意をします。
Nuck菅水腫に内膜症を合併いている場合、破裂などした場合は腹痛やイレウスの原因にもなるので、その取扱には十分注意する必要があります。
【総合外科医の目】
鼠径部膨隆の症例を経験した中で多かったのは
①Nuck菅水腫
②鼠径部リンパ節腫脹
でした。
②鼠径部リンパ節腫脹の特徴は 立位で腫脹(意外と硬い)し、仰向け(横)になっても消失しないことで鑑別しやすいです。
①Nuck菅水腫は診断・治療ともにやはり難しいです。
前々回の日本ヘルニア学会でもディスカッションは盛り上がっておりました。
治療は
①鼠径部切開法
②TAPP法(腹腔鏡下ヘルニア手術)
③Hybrid(鼠径部切開法+TAPP法(腹腔鏡下ヘルニア手術))
Nuck菅水腫で最も重要なのは
子宮内膜症の合併が約20%の症例で認める
月経周期の疼痛・腫脹などの術前問診が極めて重要
子宮内膜症を疑う症例では破裂することなくNuck管水腫を摘出する必要がある
疾患概念をしっかりと把握しないで手術にあたると患者さんへ不利益を与えかねないので、しっかり学問して診療に臨みましょう!
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