「鼠径部ヘルニア診療ガイドライン 2015」を紐解く
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「鼠径部ヘルニア診療ガイドライン 2015」を紐解く 投稿日 2020-11-14、最終更新日 2023-04-07
再発ヘルニアに対して推奨する手術術式は何か?(CQ23 )
Answer
再発ヘルニアは初回手術術式がさまざまであり、推奨する特定の手術術式を示すレベルの高い報告はない。既往手術が腹膜前修復法後の再発では鼠径部切開法が推奨されるが、腹膜前修復法で治療されていない場合には腹腔鏡下ヘルニア修復術は手技に十分習熟した外科医が実施する場合において再発ヘルニアに適している(推奨グレードB)。
※「鼠径部ヘルニア診療ガイドライン 2015」66頁より
解説
再発ヘルニアでは初回手術術式は多岐にわたる。特にどの手術法が優れているかのエビデンスレベルの高い論文はない。
再発ヘルニアに対する腹腔鏡下ヘルニア手術は、既往手術が鼠径部切開法の場合、癒着のない(少ない)後方からアプローチする点で技術的に有利とされ、再発の解剖学的理解が得られやすく、力学的につよい修復が可能な点などの利点がある。
再発ヘルニアに対する腹腔鏡下ヘルニア手術後の再発率は、鼠径部切開法と比べ同等または良好とされる。
Lichtenstein法と比較し、術後の合併症率が低く、社会復帰が早期である。急性・慢性疼痛のリスクは鼠径部切開法と比較し低い。
再発ヘルニアに対する腹腔鏡下ヘルニア修復術は技術的に高度であり、腹腔鏡下ヘルニア手術の手技に熟達した外科医が行うべきである。
EHSガイドラインでは、腹膜前修復法後の再発では鼠径部切開法が推奨されている。
デンマークの大規模観察研究ではTAPP後の再発に対するTAPP法とLichtenstein法の再発率は、それぞれ7.1%と2.7%であり、TAPP後のTAPP法は推奨されない。
ただしTAPP法手術経験数の多い外科医による報告(n=135)では、再発率0.74%と良好な結果が得られており、手技に習熟した外科医で可能な術式である可能性がある。
※「鼠径部ヘルニア診療ガイドライン 2015」66頁より
(ただし、太字への変更及び下線は筆者)
注記*
初回手術は他施設で実施されている可能性もあり、再発形式を検討するためには術前にCT検査が必要と思われます。
ただし、前回の術式が「前方到達法」であるか「腹膜前到達法」かはCTで確実に判断は出来ないと思われます。
「腹膜前修復法=腹膜前到達法」後の再発では鼠径部切開法が推奨されることもあり、ALOHA外科クリニックの戦略としては→腹腔鏡観察し「前方到達法」後であればそのままTAPP、「腹膜前修復法=腹膜前到達法」後であればhybridで鼠径部切開法を選択します。
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